14:30~15:30 【第1部】知っておきたい レーザー治療の基本のき
座長: 河野 太郎 先生 [東海大学医学部外科学系形成外科 教授]
1990年代後半からレーザーによる脱毛治療が始まり、レーザー治療の中で最も一般的な治療となった。その後、脱毛レーザーが、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査の承認をうけたが、その承認の条件として、「本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師が、講習の受講等により、本品の使用に関する技能や合併症等に関する知識を得た上で、本品が適切に用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずること。」が、追記された。しかし、本邦では、未承認機器であっても医師の裁量権で使用が可能であるため、レーザーの知識と経験が不十分な医師が治療することによる事故や、医療従事者以外の施術による事故等があり、医療安全を認識していない医師や施設での医療事故は実際の報告よりも多いと考えられる。脱毛以外の美容医療領域においてもレーザー医療安全は必須であり、医師のみならず、看護師の安全教育も必要である。
現在美容医療の領域においてレーザーは欠かせない技術である。端的にその歴史を振り返るとレーザーは特定の色素を標的とする治療と、水を標的として無差別に皮膚組織を蒸散するリサーフェシング治療に利用された。前者は後に色素周辺組織に熱を与えて破壊する脱毛レーザーの開発につながり、更に熱破壊を行わず線維芽細胞を刺激することによってしわ、たるみの改善を図る機器が開発された。後にこのタルミ取りに関しては使用されるエネルギー源がレーザーからラジオ波、そしてHIFUなどにその主力が移り変わっている。後者のリサーフェシングレーザーは後に全体ではなく部分的に皮膚照射を行うフラクショナルレーザーに発展した。2013年にはピコ秒レーザーが開発され、極超短時間低出力照射によるレーザートーニングが行われるようになった。本発表では技術革新の裏側に隠されたエピソードを交えて美容レーザーの歴史を振り返りたいと思う。