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エキシマレーザーは塩化キセノンガスを媒体として308 nmの単色光を非常に高い光強度(輝度)で照射することができる。この高輝度の光は皮膚の深部への高密度の光の到達を可能にし、従来の光線療法で効果が十分に得られなかった難治性病変や深部病変への効果も期待される。XTRAC® Velocity7はこのエキシマレーザーを搭載した紫外線治療器であり、2019年9月より保険収載され、現在長中波長紫外線療法として保険点数算定が可能になっている。 当教室でも本年よりXTRAC® Velocity7による光線療法を開始し、これまでNB-UVBやエキシマライトにより治療するも効果が不十分であった尋常性白斑や円形脱毛症の症例に対して良好な治療結果を得ている。本講演ではXTRAC® Velocity7の特性や生物学的作用について説明し、その特性に基づいた効果的な使用法や使用時の注意点について当科で経験した症例を提示しつつ解説したい。
紫外線治療は皮膚科医にとって慣れ親しんだ治療のひとつであるが、様々な波長を照射できる機器の開発や照射方法の進歩により、より安全で有用性が高い方法となった。さらにコンパクトな機器も増えて、クリニックにおいても導入が容易になっている。当院では、ナローバンドUVB、ターゲット型エキシマライト(VTRAC、ExSys308)を用いて種々皮膚疾患に対して積極的に紫外線治療を行ってきたが、新たにエキシマレーザー(XTRAC)も治療に用い始めた。これらの機器の難治性皮膚疾患への有効性の高さは広く認知されていると思われるが、より高い治療効果や患者満足度を得るために当院では様々な工夫をしている。例えば、乾癬に対する経口PDE4 阻害剤との併用療法、白斑に対するそれぞれの機器の特性を活かした部位別照射やフラクショナルRF との併用療法、正確な照射の補助やモチベーション維持のための肌画像カウンセリングシステムの活用などである。今回、当院の症例を供覧しながら、エキシマライトからエキシマレーザーへと変貌しつつある紫外線治療について考える。