ランチョンセミナー
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パルス発振レーザーの発振方式には、通常パルス発振と短パルス発振(Qスイッチ法、直接変調法、外部変調法、モードロック法)に分けられる。皮膚科形成外科領域で使用されているQスイッチパルス発振はレーザー媒質中で反転分布を十分にためて、一気にレーザーを発振させる方法で、高いピークパワーを得ることができる。真皮メラノサイトーシスや刺青のレーザー治療の第一選択のレーザーが、このQスイッチレーザーである。レーザーを生体に照射すると吸収されたエネルギーで多種多様の相互作用が生ずる。光化学作用、光熱作用、光アブレーション、光破壊、プラズマ励起アブレーションである。パルス幅がナノ秒よりも長くなると熱的作用が強く、それよりも短いと機械的(音響的)作用が強くなる。光熱作用とは、レーザーにより標的器官が吸収係数に応じて熱せられ、周囲の熱容量や熱伝導率に応じて生体組織内の温度分布が、変化する作用である。表在性色素性疾患であれば、Qスイッチレーザーだけでなく、ノーマルモードパルスレーザーの光熱作用で治療が可能である。 照射時間が短くなるに従い、光機械的作用が強くなってくる。吸収されたレーザーのエネルギーにより、最初に熱が発生する。照射時間が短い高いピークパワーのレーザー照射後には、熱膨張することで、周囲と異なる密度分布が生じ、光機械的作用である光音響波が発生する。 良性色素性疾患治療に使用されるナノ秒発振のルビー、アレキサンドライト、YAGレーザーの生体作用は光機械作用と光熱作用の両方である。メラノファージの熱緩和時間は、ナノ秒単位であるが、刺青のインクの熱緩和時間はピコ秒単位であるため、ナノ秒発振レーザーでは、破壊は不十分で、治療に抵抗する患者も多い。ピコ秒発振レーザーの生体作用は、パルス幅が短くなるほど機械的作用が主体となり、熱的作用が減弱するため、有効性が上がるだけでなく、瘢痕形成のリスクも減少する。