ランチョンセミナー
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同期平行型超音波ビーム(SUPERB®)という技術により真皮層に正確な間隔でフラクショナル超音波エネルギーを与えることのできるSofwave®を用いて、しわ・たるみ治療が行われるようになってきた。照射時間が5秒であり、徐々に熱エネルギーが入るため、搭載されたクーリングシステムだけではペインコントロールが不十分であり、また、効果を上げるために照射数を増やすと、治療時間、コストが問題となってくる。 今回、照射数が少なくても、直後から効果が得られるようにするために、メソセラピーでたるみ治療を行う際のテクニックを応用して治療を行い、しわ・たるみ、肌質改善について検討したので報告する。 メソセラピーでのインジェクターを用いた表皮注入法では、頬は三分割して、mobile zone、immobile zone、その中間のlifting zoneにわけ、それぞれたるみが改善するベクトル方向に注入することで、効果的な輪郭改善が得られる。その手法をSUPERB®照射にも応用し、個々の顔の輪郭に合わせて軟部組織が最も持ち上がるベクトル方向を意識して照射を行う。ペインマネージメントとしては表面麻酔と冷風を併用し、治療前に照射エネルギー出力について”2~3秒後に熱いと感じる痛みのピークがくる”ということを患者に伝えておき、今回は原則として苦痛のない出力で顎裏を含むフルフェイスに1パス照射を行った。また治療経過はマクロ写真および皮膚測定器Antera3D™ (Mirabex社)でシワの改善、肌質改善を評価検討した。 真皮1.5mmのレベルにフォーカスした高強度の超音波エネルギーにより、表皮やその下層に影響を与えず、真皮中層のみ60℃に加熱することで、再生可能なレベルでcollagen shrinkageが起こる。今回、顎裏を含むフルフェイスに1パス照射でも治療直後のタイトニング効果、時間の経過とともに、しわや肌質の改善効果が見られた。たるみについてはスレッドリフトほどのダイナミックな改善効果はないが、真皮全体を照射することで肌質・たるみ・しわのバランスの良い改善が期待できる。
顔面の5層構造は加齢ともに質的・量的・構造的変化がおこり、老人特有の凹凸のある輪郭を呈するようになる。重力により下垂した皮膚・皮下組織の状態をたるみと定義すれば、この原因は皮膚の菲薄化、伸展、浅層皮下脂肪コンパートメントの下垂と変形、retaining ligamentやretinacula cutisの脆弱化などであろう。 下垂した皮下脂肪組織に縫合糸を通し皮膚・皮下組織を挙上する試みは、過去数多く考案されて来たが、それらは全て表面が平滑な縫合糸を使用したものであった。 2002年、M.Sulamanidzeが非吸収糸にノッチ(切れ込み)入れたAPTOS Threadを考案し、軟部組織に通すことで下垂した組織を挙上する方法を発表した。ノッチが皮下のretinacula cutisに引っかかり、挙上された位置で組織の固定が可能となった。皮膚切開や糸の縫合を伴わず、低侵襲で、ダウンタイムが短いため、この方法は一気に世界中へ広まった。ノッチの形状、糸の素材、糸の挿入方法などが改良された新しい製品が各国で次々と生まれ、これらを使ったたるみ治療はスレッドリフトと総称されるようになり、たるみ治療の重要な位置を占めるようになった。 筆者は2003年から非吸収性APTOS Threadの使用を開始し、その後も各社で開発された製品を使用し報告を行ってきた。今回、それらの経験から得られた知見を報告するとともに、APTOS Threadの最新版であるヒアルロン酸コーティング吸収糸の使用経験についても報告する。