ランチョンセミナー
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顔面の5層構造は加齢ともに質的・量的・構造的変化がおこり、老人特有の凹凸のある輪郭を呈するようになる。重力により下垂した皮膚・皮下組織の状態をたるみと定義すれば、この原因は皮膚の菲薄化、伸展、浅層皮下脂肪コンパートメントの下垂と変形、retaining ligamentやretinacula cutisの脆弱化などであろう。 下垂した皮下脂肪組織に縫合糸を通し皮膚・皮下組織を挙上する試みは、過去数多く考案されて来たが、それらは全て表面が平滑な縫合糸を使用したものであった。 2002年、M.Sulamanidzeが非吸収糸にノッチ(切れ込み)入れたAPTOS Threadを考案し、軟部組織に通すことで下垂した組織を挙上する方法を発表した。ノッチが皮下のretinacula cutisに引っかかり、挙上された位置で組織の固定が可能となった。皮膚切開や糸の縫合を伴わず、低侵襲で、ダウンタイムが短いため、この方法は一気に世界中へ広まった。ノッチの形状、糸の素材、糸の挿入方法などが改良された新しい製品が各国で次々と生まれ、これらを使ったたるみ治療はスレッドリフトと総称されるようになり、たるみ治療の重要な位置を占めるようになった。現在はノッチやコグ付きの吸収糸がカニューレに装着されたものや、コーン付き糸の両端に針が付けられたものが主流であり、スレッドリフトはたるみ治療の重要な位置を占めるようになった。 筆者は2003年から非吸収糸のAPTOS Threadを使用し、その術式について発表した。その後も各社から開発された製品を使用し、スレッドリフト手術を行ってきたので、それらの経験から得られた知見や考え方を報告する。またAPTOS Threadの最新版であるヒアルロン酸コーティングの吸収糸についても報告する。