アフターヌーンセミナー
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レーザー治療は良性色素性皮膚疾患に対する治療法として広くおこなわれており、現在ではQスイッチレーザーが主流となっているが、レーザー治療について専門的に学べる場は多くない。 当院で採用しているQスイッチルビーレーザーは、メラニンへの吸光度が相対的に高い694nmの波長を用いて、光熱反応を生み出すことによりメラノソームを選択的に破壊することができる機器である。 本講演ではレーザー治療の基礎を改めて学び直す目的で、レーザーの基礎理論、色素性皮膚疾患の治療に用いられる各種レーザー機器の比較のほか、色素性病変の診断方法やアフターケアの指導法など、より安全で効果的な治療をおこなうための方法について解説する。
水に対して吸収率が高いレーザーの1つである炭酸ガスレーザーの光は、組織に吸収されると熱エネルギーへと変化し、組織は蒸散される。美容皮膚科領域に限らず、通常の皮膚科診療においても母斑や脂漏性角化症、脂腺増殖症、アクロコルドン、尋常性疣贅などの疾患の治療に使用される炭酸ガスレーザーは需要の高いレーザー機器といえる。蒸散範囲については、病変の存在する皮膚の病理組織を考えながらすすめていくが、瘢痕形成しないよう気をつける必要がある。炭酸ガスレーザー治療は簡便で満足度の高い治療であるが、近年、美容医療の隆盛とともに診断がないがしろにされたままレーザー治療を行われている事もある。診断に迷う、または悪性の可能性が否定できない場合は、生検または外科的切除術を行うことが望ましい。我々が患者にとって安全で効果的な治療を行うために、今一度、炭酸ガスレーザー治療の基本に立ち返ってみたい。