ランチョンセミナー
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腋臭症や腋窩多汗症のマイクロ波治療器(以下ミラドライ)による治療や手術治療においては、腋窩の広い範囲の目的とする深さに、局所麻酔薬を均等に浸潤させる必要があり、麻酔時の疼痛に対する配慮も求められる。当院では、ミラドライ症例全例でディスポーザブル低侵襲マイクロ注射針(旧名パスキン)を使用し局所麻酔を行っている。 2019年3月から8月までの間に6名のモニターに対しミラドライ治療を行った。全員が両側腋窩に施術を行い、うち2人は両側とも2回施術を行った。メーカーが指摘している症状(痛み、腫れ、内出血、硬結など)以外の副反応はなかった。局所麻酔は全例ディスポーザブル低侵襲マイクロ注射針を使用し、疼痛をNumerical Rating Scale(NRS)で評価した。結果はいずれも軽度(1~3)であり、局所麻酔の疼痛による苦痛を少なくすることができたと考えられた。 一方ディスポーザブル低侵襲マイクロ注射針を用いるデメリットとしては、ファニング法単独と比較し局所麻酔に時間がかかることやコスト面の問題がある。 ミラドライ治療の基本的な内容とともに症例を供覧する。
【目的・方法】 マイクロ波を用いた腋窩多汗症治療器であるミラドライは、切開を必要とせずに汗腺組織を熱により焼灼および凝固させることが可能な先進的機器であり、2018年6月の薬事承認以来、その治療実績はさらに拡大してきている。当院では以前より治療効果を高めるための工夫として、汗腺組織が集中する中央部分への重ね打ちを行ってきた。今回、多汗症を主訴とする患者に対して発汗計による定量的な評価を行うことで、特に発汗が強い部分を同定し、ここに重ね打ちを行うことで治療効果を上げる試みを行ったので報告する。 【結果・考察】 現在まだこのプロトコルに沿った症例件数は少ないが、測定結果に基づき発汗量が多かった部分を中心に重ね打ちを行うことで、主観的・客観的に多汗症症状のより効果的な改善が得られるのではないかと考えている。術前後での測定結果や、従来の定性的評価法であるヨードデンプン法との評価の相関についても言及したい。 また、汗腺組織を熱焼灼および凝固させることで腋臭症の自覚症状の改善にも効果はあるが、将来的には臭気計などによる定量的測定に基づいて、多汗症のみならず腋臭症についても効果的な治療プロトコルの開発や客観的な治療データの蓄積を行っていきたい。